校正も仕事の一つです
校正で数々の失敗を起こしてきました。
何度も見返しても気付けなかったことが、刷り上がってから数秒で見つけてしまう。
固有名詞や事実関係を間違えたときには、心臓が止まりそうになります。
私が担当してきた業界紙(2紙)は、校閲記者がおらず、編集部内で順次確認していました。
すべての記事に目を通すように心がけているものの、正直なところ、忙しいときは自分が書いた記事を最優先で見てしまいます。
「信じられるのは自分のみ」です(笑)。
誤字脱字は発見できても、肝心の固有名詞や事実関係は、書いた本人でなければ分かりません。
ただ、第三者の違和感がピンチを救うこともあるので、それぞれが時間を割く価値は十分にあると思います。
取材経験から疑問に思うこともあれば、以前あったミスから気付くこともあります。
(例えば「機関・期間」「工場・向上」「機械・機会」のような変換ミスは、両方とも使用頻度が多く、起こりがちです)
取材、ライティング、撮影だけでなく、校正の力も使い続けなければ衰えます。
私は完全な我流ですが、校閲記者ならではのテクニックが存在するようです。
校正のポイント
毎日新聞校閲グループが書いた『校閲記者の目‐あらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞出版発行)が参考になります。
いくら多くの誤りを発見できても、1カ所でも見落としがあれば「0点」となる世界。
この本では、実際にあった記事を例に挙げながら
- 誤字・異字同訓
- 数字・単位・記号
- 事実誤認・覚え違い
- 表現のニュアンス
- 固有名詞の落とし穴
- 文法と文脈
のポイントごとに注意点を教えてくれます。
校閲記者は、同じ記事を確認するにしても、見逃さないようにするための見方があるそうです。
「流れを読む」
「読まずに、一字一句、指で押さえて見る」
「片仮名だけ見る」
「数字だけ見る」
と、幾通りものチェックの仕方をします。同じ文字の列を追うにしても、見方を変えてみると、別の違和感が生じて手と目が止まることもあるからです。
漫然と読まずに、自分なりのルールを設けるとも解釈できます。
私は「全体→固有名詞(再確認)→見出し」の順番で確認しています。
なかでも「見出し」が落とし穴。少ない文字数かつ動きのある見出しにこだわるあまり、本文の内容と若干食い違うことがあるからです。
あとは流れを読むときにシャーペンを多用しています。
校正紙を読みながら、文字の横に線を薄く引くというもの。
こうすれば黙読のスピードが多少遅くなるので、読み飛ばす危険性を抑えられます。
同書によれば、語彙力だけでなく、土地勘、料理などの経験も、誤りに気付くきっかけになるそうです。
個人的には、気持ち、時間ともに余裕のある状態で確認することも重要だと考えています。
焦りが流し読みに、ひいては大きなミスにつながります。
そうした失敗の数々も少しずつ取り上げていきたいと思います。
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