書くのが遅い理由がようやく分かった

業界紙記者になって15年、書くのが遅い理由にようやく気付きました。

自分が書いた字の解読に相当な時間を使っていることに。

取材のメモは、記憶を呼び起こすきっかけと考えているので、相手の言葉を一字一句書き留めているわけではありません。

走り書きでせいぜい20文字ぐらいです。

それでも読めない。

むしろ短いフレーズだからこそ、思い出せるヒントが少ないとも言えます。

ということで、前後に書いた内容から連想して記憶を無理矢理叩き起こす作業が必要になります。

解読範囲を広げる

取材は「聞く」「(次の質問を)考える」を同時に進めるので、どうしても走り書きになることが多く、長時間になるほど解読が難しい部分が増えます。

泣く泣く諦めるという選択肢もありますが、取材先が貴重な時間を割いて答えてくれたことは無駄にしたくありません。

ただ、どれだけ頭をひねっても思い出せないことが、前後の解読範囲を広げると大概のことは思い出せます。

相手が重要と考えていることは、確認や強調の意味を込めて繰り返し話している場合があるからです。

日常の会話もそうですが、

「a→b→c→d→e」

と順序立てて伝えることもあれば、

「a→c→f→e→a」

のように、関係のないような話でも、最後まで聞くとつながっていることはよくあることです。

  • 時間がないときは、解読できないところを一旦諦めて、ある程度先に進める。
  • そのなかで、「あっ!そうだった!」と記憶をよみがえってくる。

いくら悩んでも埒があかないので、そう信じて進めるようにしています。

録音はしない

録音すれば解決することは分かっていますが、基本的にボイスレコーダーは使わないようにしています。

もちろん、聞き直す時間がもったいないということもあります。

それ以上に、取材中に書くことには、散らばった情報を結びつけたり、記事にする際に中心となる話題を考えたり、といった付加価値があります。

記者は、たんなるレコーダーやスピーカーではなく、一次情報を得て、分析し、読者に分かりやすく伝えることが仕事です。

「録音したつもりができていなかった」

「録音できていたけど、まわりの雑音がひどくて(もしくは声が小さくて)聞き取れない」

といった可能性もゼロではありません。

スマートフォンの性能が向上し、録音、再生、保存もしやすくなりましたが、私は補助的な役割に留めています。

記事を書く時間を短くするためにも、文字はできるだけ大きく、数字は丁寧に書いていきたいと思います。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。