出品記事で大失態

2024年5月16日

休み前で浮ついていました。

「一刻も早く校正を終わらせて解放されたい」

その焦る気持ちが大きな失敗につながりました。

そのとき見ていたのは、会社が主催する展示会の出品記事。出展者ごとに展示製品と提案内容を紹介する内容でした。

開催前の告知を目的としたもので、アンケートをもとに記者一人あたり15~40社程書きます。

記事のフォーマットがある程度決まっており、文末に問い合わせ先として住所と電話番号を載せることになっていました。

正直なところ、時間さえ確保できれば、そこまで難しい仕事ではありません。

それにも関わらず、間違えてしまいました。

電話番号の末尾を!!

展示会の会場でシール貼り

休み明けに刷り上がった新聞は、そのまま展示会場へ。

「A社様の出品記事を書いたのは誰かな?」

営業責任者からそう聞かれて、初めてミスがあったことに気づきました。

すでに先方への謝罪は終わっており、誤っている電話番号をシールで修正することで納得いただいたとのこと。

発送されている分は対応できないため、会場で配布する分だけ修正することになりました。

会場の各所に散って、黙々とシールを貼り続ける編集部。

「穴があったら入りたい」気持ちでした。

しかし、これで終わりではありませんでした……。

自社製品なのに、なぜか「米国製」と書く大失態を起こしていたのです。

思い違いでさらなる失態

「B社様の出品記事を書いたのは誰??」

展示会初日、営業課長から聞かれた時点で嫌な予感がしました。

「自社製を『米国製』と書かれたことで、先方が大変怒っている。なぜそうなったのか理由を教えてほしい」

「それは……。私の思い違いです」

そう答えるしかありませんでした。

B社様は、自社製品だけでなく、代理店として扱っていた米国製品も展示していました。

そのことを理解せず、原稿提出直前に「文末にある『米国製』を記事の冒頭に書いた方がインパクトがありそうだぞ」と考えて書き直したのが原因です。

すでに会期中だったこともあり、シールによる修正もできず、編集部の上司が後日改めて謝罪にすることで収めていただきました。

失態に対して怒らず、冷静に対処する上司の姿を見て、感謝とともに「すごいな」と思ったことを覚えています。

ミスは定量ではない

入稿前、校正段階の確認不足が原因です。

先方から提供されていたアンケートとすり合わせていれば、2つとも防げていたミスでした。

前回も書きましたが、文章として違和感がなくても、書いた本人でなければ分からない情報も多々あります。

  • 社名
  • 人の名前
  • 製品名
  • 仕様
  • 連絡先

などは要注意です。

焦らないように校正の時間を確保するだけでなく、「ミスは定量ではない」と思うようにしています。

誤りの発見は、安堵と油断を生むからです。

『校閲記者の目‐あらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞校閲グループ著/毎日新聞出版発行)に掲載されている考え方も参考になります。

  • 校閲記者は、ゲラを手にしたら、まず「ワープロ入力だから間違えていない」という先入観を排除するようにしています。(中略)結局は、「機械が間違えている」のではなく「人が間違えている」のですから。
  • 原稿を書く前についていえば、打ち間違えを「しない」ことはできずとも、ミスはあるものと考えて、最後に漢文のように読み下してみることで、いくらか防げるのではないでしょうか。

ただ「不安だから」といって、校正ばかりに時間を割くわけにもいきません。

自分なりの押さえるべきポイントを明確にしたうえで、ある程度割り切る勇気も必要かと思います。

時間に流されないように自省する意味も込めて、大失態を紹介させていただきました。