文章の型から学ぶ
型があれば、真似るだけでカタチにはなる。
メールだけでなく、社内、社外文書にも、同じことが言えると思う。決まった流れに沿って、情報を埋めるだけ。あとは、取り上げる題材に合わせて、表現を少し変える程度で完成する。
目的が明確で、使用頻度が多いものであれば、型はつくった方がいい。文章構成をイチから考えるのは、面倒なうえに時間がかかる。
情報の抜け漏れを防げるし、チェック項目をあらかじめ決めておけば、他者も確認がしやすい。文章を書き慣れていない人にとって、書き始めまでの心理的なハードルを下げることにもなる。型に合わせて繰り返し書くことで、文章作成に対する苦手意識が薄れるという副次的な効果も期待できる。
情報を正しく伝えることができれば、オリジナリティにこだわる必要はない。
文章表現よりも論理展開
インターネット上で紹介されている定型文を参考にするのも悪くない。汎用性が高く、応用しやすい。ただ、業界の商習慣に沿った言い回しを学ぶには、先輩が書いた文章を真似るのが近道だ。
業界紙記者からコンサルタントに転職して3カ月間は、ひたすら先輩の書いた文書を読んでいた。文章表現は、個々に癖があることが分かっていたので、参考にするつもりはなかった。顧客が新規ビジネスに取り組むことになった背景から今後の展望までの論理展開(ストーリー)を学ぶことが目的だった。
できる人に共通する点は、論理を飛躍させないことだ。ビジネスの規模に合わせて、ぴったりな市場動向を併記する。国内で展開する取り組みにもかかわらず、「グローバル規模で見ると…」といったことにはならない。
極端なように思えるかもしれないが、文書作成に没頭して視野が狭くなっていたり、早く終わらせたいあまりに、強引なストーリーを無理やり進めたりすることは、よくあることだ。ほかの人が書いた文章を読むことは、良い反面教師になる。
あくまで参考
注意しなければならないのは、ほかの人が書いた文章は、あくまで参考に過ぎないということだ。コピー&ペーストに頼るのは、誤った情報を伝える原因になる。癖になると、コピー&ペーストすることが目的となり、参考する文章に寄せて、事実を曲げて書くことにもなりかねない。
型にも同じことが言える。型に頼るあまり、「型がなければ書けない」「意図と異なるのに型に合わせて書く」といった危険性がある。オリジナリティーにこだわる必要はないが、文章を書く目的を見失ってはならない。
型の意味を探りながら、参考にすることが文章作成の時間短縮につながると思う。
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