経験と予定調和

2024年5月16日

  • 年月を重ねるごとに、経験だけで乗り切ることが多くなってきた。

新聞制作に使える時間を割り出して、必要な工程ごとに細分化する。

紙面構成の検討、取材申し込み、下調べ、取材・撮影、原稿作成、校正……ある程度見えている。

限られた時間のなかで、どの程度割けるのか。

経験から全体を把握しているからこそ、効率的に動ける。

できるかぎり就業時間内で収めることで、心も、身体も安定して働けている。

「安全運転こそが信条」と言っていいかもしれない。

どこで線を引くか

もう一方から見れば、予定調和から抜け出すことができていないということだ。

業界紙といっても、カバーすべき守備範囲は広く、やろうと思えば、どこまでも深く掘り下げられる。

欲がつきない。際限のない仕事だからこそ、記者に面白みも感じる。

締切というゴールはあっても、情報の分析や表現に正解はない。

他者から良し悪しを判断されない状況にあるため、自分で線を引くしかない。

その線を「就業時間」としたのが、現在の自分である。

もちろん締切に間に合わなければ、残業もするし、休日出勤もする。

でも、それは責任感から起こっている行動であって、「使命感ではない」というのが本音だろう。

業界紙記者になったばかりの自分が見たら、少しがっかりするかもしれない。

当時思い描いていた理想と照らし合わせれば、ギャップが大きかったことも確かだ。

「やりきった」と言えば嘘になるし、後悔もある。

時間が経つにつれて、自分がやりたいことと、まわりが期待していることに大きな差が生まれている。

公的な立場にふさわしい期待に応えることも楽しく、達成感もある。

ただ、その差を埋めることは、個人の努力だけでは難しくなっている。

だからこそ転職を選んだ。

生涯現役でいるためには、過去の経験だけで乗り切れない。

「とにかく学び、実践せねば」と思うこの頃である。