書くために読む~スマホ沼から抜け出して、読書の習慣を取り戻したい
すっかり本を読む機会が少なくなりました。
年間100冊読むことを目標にしていた頃に比べれば、半分以下になりました。
読む量が減ったのは、スマートフォンでYoutubeを見るようになってから。
広告が表示されないうえに、バックグラウンド再生ができるYoutube有料会員になってから、本離れが一層加速しました。
「本要約チャンネル」を見たり、Amazonオーディオブック「Audible」を聞いたりしていたものの、自分のなかでもの足りなさがありました。
文章表現力、語彙力がまったく上がっていなかったからです。
4、5年前のバックナンバーを読みながら、「昔の方が面白いな」と思うことも増えてきました。
新聞記者は、起こったことを分かりやすく伝えることが第一。小説家のような「上手な文章」を書く必要はありません。
ただ、最後まで読んでもらうには、読者をひきつける書き出しと文章構成、ストレスを感じさせない表現力が求められます。
納まりの良い表現、書き慣れた構成は、効率こそ上がるものの、面白みに欠ける。
だからこそ、良い文章と新しい知識に触れる必要があります。
意志力ではなく、仕組みで習慣化する
頭では分かっているけど、なかなかスマホ沼から抜け出すことができません。
精神科医のアンデシュ・ハンセン氏は著書『スマホ脳』(久山葉子訳/新潮新書発行)で、「スマホは私たちの最新のドラッグである」と語っています。
人間には、新しい情報、新しい環境をほしがるドーパミン産生細胞が存在しているからです。
食べ物の確保に躍起になっていた数十万年前と、スマホの虜になっている現代も変わりません。
脳は基本的に昔と同じままで、新しいものへの欲求も残っている。しかし、それが新しい場所を見たいという以上の意味を持つようになった。それはパソコンやスマホが運んでくる、新しい知識や情報への欲求だ。パソコンやスマホのページをめくるごとに、脳がドーパミンを放出し、その結果、私たちはクリックが大好きになる。しかも実は、今読んでいるページよりも次のページに夢中になっているのだ。
Yahoo!やLINEに表示されるネットニュースに時間を奪われているのは、代表的な例と言えます。
細胞の働きまで利用したスマホの誘惑に、意志力で勝つことは至難の業。
そこで読書を習慣化する仕組みづくりに努めています。
「時間」と「場所」を決めることです。
在宅勤務なら仕事を始める15分前、出社なら通勤時の「〇〇駅から〇〇駅までの30分間」といった具合です。
これは、あくまで最低でも確保したい時間。
鞄と自宅の机には、読みかけの数冊をいつでも取り出せるようにしています。
並行して読めば、気分が乗らないときでも楽に取り組めるということもありますが、あらゆるジャンルに触れたい気持ちがあるからです。
朝日新聞編集委員の近藤康太郎氏は、著書『三行で撃つ-〈善く、生きる〉ための文章塾』(CCCメディアハウス発行)のなかで、ライターの課題図書として、
- 日本文学-犬にならないために
- 海外文学-「愛」を知るために
- 社会科学あるいは自然科学-違う物差しで測るために
- 詩集-遠く羽ばたくために
を挙げています。
近藤氏は、主宰する私塾の塾生に、これらの課題図書を毎日15分ずつ必ず読むことを指導しています。
「書く」と「読む」はセットだからです。
ライターにとっての「書く」は、広い意味で「読む」も含まれている。書くことと読むことは、引き手と押し手だ。水面下でボートのオールを力いっぱい漕ぎ、水面から出して空中を返翼する。つねに一体になっている。書くこととは、すなわち読むことでもある。
インプットあってこそのアウトプットです。
経験による手癖に頼ることなく、文章表現力と語彙力を磨く意味でも、スマホとも適度な距離を取りながら、楽しく学びたいと思います。
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