あとのことは考えずに、とにかく書き留める
正確に情報を伝えることが記者の仕事です。
だからこそ、記憶力に過信することなく、A4ノートなどに書き留める必要があります。
提供資料、ネット情報(一定の権威性がある)、過去の記事もある程度参考にしますが、他紙にないニュース性を得るにはやはり「一次情報」です。
勘違いなく記録するには、少ない画数で書くためにオリジナルの略語を使うことです。
例えば、営業活動を強めている地域として「東京」「名古屋」「大阪」が挙がったとしたら、「東名阪」と書きたいところですが、
東京→TK 名古屋→NG 大阪→OS
とすれば、さらに画数を少なくできます。
英数字も「年→y」「月→m(メートルや分と勘違いする可能性もありますが…)」「日→d」のように併用することで楽になります。
特定の業界・分野に関して書くことが増えたら、多用する言葉があることに気づくはず。
そうなったら、独自の記号(略語)を開発するチャンスです。
写真→p 製品→s 新製品→ns
のような感じです。
学生のように丁寧にまとめれば、見直しやすく気分も良いのですが、時間的にそうはいかないのが現実です。
取材ノートは誰に見せるわけでもないので、「自分だけが分かれば良い」と割り切ることが寛容ではないでしょうか。
五感で得た情報も有益
一次情報を書き留めるのは、あくまで手段です。
音声を文字に自動変換してくれるソフトが充実してきたので、むしろ目的によってはICレコーダーやスマートフォンの方が有用でしょう。
書くことにこだわるのは、頭の中で情報を整理して、次の質問につなげる材料にしたり、前後関係を確認したりするのに便利だからです。
五感で得た情報を伝えるのも記者の醍醐味。その場で自分自身で見たり感じたりしたことも「有益な情報」と言えます。
『カナダ=エスキモー』『ニューギニア高地人』などのルポルタージュで著名な本多勝一氏は
文章ともなると「シャッターを押しさえすれば」というわけにはゆかなくなっている。作文技術的な表現力のほか、何を捨て、何を詳述するか、といった広義の表現力が問題になります。そして「詳述」するときの一つの目安が、ここで申します「映画を見るように読者の脳裏に浮かび上がらせることができるかどうか」です。
と記しています。
脳裏に浮かび上がらせるためには、客観的な事実に加えて、感覚的な情報も必要と言えそうです。
なお『ルポルタージュの方法』には、海外取材企画の立案から下準備、取材、執筆などの工程が失敗談も含めて紹介しています。
当時のノートも載っており、地図、現地の言葉なども事細かく書かれていました。『日本語の作文技術』で知られている方ですので、表現、文字の選び方、段落の使い方という点でも勉強になります。
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