型にはまった文章ばかり書いていると、そこから抜け出すのに苦労する

腕が錆びついている。転職するたびに、仕事で書く機会が減り、書いても定型文のようなものばかりだ。
誰が読んでも、ある程度わかるガイドブックのような媒体を制作する経験は、この1年で多少積めた。
しかし、自ら取材して見聞きしたことを言語化することはほぼない。

 

型にはまった文章ばかり書いていると、そこから抜け出すのに苦労する。
明快な書き出し、単調さを感じさせない語尾、言葉の長短を使ったリズミカルな文章など、理想とするカタチを目指すことも億劫になる。
鍛錬を習慣化させるには、日々書く環境に居続けることが上達の近道であることを改めて感じる。

 

そういう点では、業界専門紙の記者だった数年前の方が確実に良い文章が書けていた。
文章に努力の跡が見られる。「最後まで読んでもらいたい」というこだわりが伝わってくる。
懐古趣味かもしれないが、Webにある自分が書いた記事を時々読むと、なおのことそう思う。

 

スマートフォンの誘惑と戦いながら、通勤途中やリモート勤務前後にできるだけ本を読むようにはしている。
ビジネス雑誌や経済紙にも目を通す。打ち合わせでメモし、誰に言われなくても議事録に残して共有する。
ただ明らかに企業と直接かかわる時間が少なくなり、インプットが減っているにもかかわらず、それでもアウトプットの量が圧倒的に足りない。

 

ここにレベルダウンの原因がある。いずれ危機的な状況に陥るだろう。
短期間で対外的に示せる結果を残し、転職する道も考えている。
副業を確立させる努力はしているものの、今のままでは自分が軸に置いてきた「書くことを生業とする」ことさえ厳しい。

 

仕事の多忙さや達成感に騙されることがもっとも怖い。
個人の実力が世間に通用するのか。
この一点のみ追求し続ければ、ある程度満足できる実力になるはずだ。