文章を引き算するには~力の入っている文章ほど読まれない~
文章を書くのが苦にならない人は、読むのも好きな人が多い気がする。気になる文章があれば、最初から最後まで読むのが当たり前。文章も想いの詰まった長文になりがちだ。
しかし、残念ながら情熱を注いだ分だけ、読まれる可能性が高まるわけではない。むしろ文章が長ければ長いほど、読者の離脱を招く。
多くの人にとって役立つ内容であっても、文字の壁が立ちはだかった途端に、読者はうんざりするだろう。この気持ちは、書いたり読んだりする人には理解できない。
ごはんも、おかずももりもり状態
原稿作成にあたって、割いた労力と時間が多いほど、自分のこだわりが強くなる。
「あれも入れよう。こっちを先に入れた方がいいかな。いや…」と悩むのも、伝えたい人がいるからだ。
そういう作成にのめり込んだときは、基本的に足し算しか考えない。あらかじめ文字数が決まっているのであれば、帳尻を合わせるために少しだけ引き算もあるだろう。だが、基本的には「ごはんも、おかずももりもり」状態だ。
学識者の方に、新聞への寄稿をお願いしたとき、依頼したテーマの核心よりも、前段の方が圧倒的に多いケースが結構あった。
忙しいなか寄稿を受けてくれたことには感謝しているが、個人的には「論文のつもりで書いたものの、前段だけで文字数に達してしまい、無理やり結論にもっていったのでは?」と思っている。
まっさらな気持ちで読む
わざわざ書いたものを削りたくない気持ちは、とても分かる。結論だけ書いても、背景がなければ伝わらないこともある。言葉を尽くさなければ、読み手に誤解を与える可能性もあるだろう。
それも最後まで読まれなければ意味がない。それなら無駄を削って、本意が伝わることに注力すべきではないか。しかし、完璧な文章を目指して書くほど、無駄はないように思えてくる。
そういう気持ちになったとき、おすすめしたい方法がある。
1.最初から最後まで声に出して読む
2.半日でもいいから置いて読みなおす
3.他人に見てもらい、アドバイスをもらう
できればプリントアウトして、原稿を見たい。Wordの表示範囲を広げてみるのもいい。部分的ではなく、全体を見る。読者のように、まっさらな気持ちで読むことがポイントだ。
重たい荷物を手放したい
これらの方法は、文章術に関する本で結構紹介されているため、効果的であることは間違いない。作家の池波正太郎氏も、原稿を少し寝かせてから渡していたそうだ。
頭でわかっていながらも、私自身、あまり実行できていない。重たい荷物を一刻も早く手放したい気持ちに負けてしまう。
そして校正の段階で後悔する。
いつもこの繰り返しだ。
このブログを読んでもらって分かるとおり、まだまだ未熟な状態が続いている。
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