散髪から考える、「思考の丸投げ」の先にある微妙な違和感
髪を切ってもらった後、いつも違和感を覚える。
美容師や理容師に「いかがですか?」と聞かれても、正直に「いや~、イメージしていた髪型と違いますね」とは言えない。伝えたところで、今さら劇的に変わらないからだ。
カット技術やセンスに問題があるわけではなく、「思いきってバッサリ切ってください」「あまり切らなくていいです」といった私の伝え方に問題がある。
失敗を防ぐために、一年ほど前から「横と後ろは長さ4mmに刈り上げて、あとは伸びた分だけ切ってください」と、多少は具体的に伝えるようになった。大人になるほど髪型が固定される理由は、自分のスタイルを確立したことに加えて、「失敗したくない」「伝えるのが面倒」といった考えもあるのではないか。
具体化と抽象化の繰り返し
漠然とした要望をうまくカタチにするのも仕事の一つとも言える。アイデアの引き出しがなかったり、カタチにする技術がなかったり、考える手間が惜しかったり、世の中は外注で解決することばかりだ。
媒体制作でも「いい感じ」「格好良く」「ポップな」「やわらかいイメージ」と抽象度の高い要望をいただくことが多い。手探りの状態から自分なりにいくつか案を提出しても、「なんか違うんだよな」とモヤっとした答えが返ってくる。
具体化と抽象化の繰り返しによって制作が遅々として進まず、さらに前言撤回されると「それなら最初から言ってくれよ……」と思うときもある。前向きに考えれば、「具体的なカタチにしたからこそ議論が活発になる」となるわけだが、器の小さな私はため息ばかりついている。
目的の明確化
お金を出しているからといって、面倒くさがって「よきに計らえ」のような考え方が癖になると、思考を深めて言語化する能力が衰える。
言葉にできない理由は
①目的が明確になっていない
②知識が足りない
③時間を割いていない
のいずれかにあると思う。
私が髪型を注文できないのは、自分自身をどう見せたいのか決まっていない上、イメージの近い髪型が分からず、サンプルを探したり考えたりすることに時間を割いていないからだ。
理想的なカタチがはっきりしていないため、髪型に納得していないのも至極当然のこと。他者に思考を丸投げせず、たまには自分で考える努力をしてみたい。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません