【読書】新しい文章力の教室~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
私は、多い日で4000~5000文字書いています。
新聞以外に、取引先の広報誌やメールマガジンも書いているので、平均すれば1日1500字程度です。
文章で生計を立てている人に比べれば、少ない方ですが、それでも書く量は少しずつ増えています。
業界紙記者になったばかりの頃は、600字の記事に1日かけていました。
先輩から「何を伝えたいのか分からない」「説明を省きすぎて、特徴が伝わらない」「情報量が少ない」など、何度も突き返されていました。
当時を振り返ると、給料がもらえて、ライティングも鍛えてもらえるなんて、ありがたいことだったと思います。
今は文章について指摘されることはほぼありません。自問自答しながら、惰性に陥らないように学ぶしかありません。
だから、私の本棚には、文章術に関する本が何冊も置いてあります。
時々読み返す程度ですが、自分の基準を見直す測定器、もしくは精神安定剤のような存在になっています。
「完読」してもらうためには
Webライティングでおすすめの本を探したところ、多くの方が『新しい文章力の教室~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』(著:唐木元)を薦めていました。
コミックナタリー初代編集長の唐木氏が、スタッフに教えるノウハウを一冊に凝縮しただけあって、書くうえでのポイントが1~3ページにまとめられていました。
伝えたい情報を、いかに最後まで読ませるか。読者に「完読」してもらうには、いくつかの前提条件があるそうです。
- 文章は「事実」「ロジック」「言葉づかい」の順で積み重なっている。
- 書き始める前に「テーマ」を決め、それから「何を」「どれから」「どれくらい」話すか決める。
- おしまいまで読みたくなるような、魅力的な一段落を最初に持ってくる。
記事を多く、しかも分かりやすく書くには、伝える情報の重要性を判断しながら、文章の構造に落とし込む力が大切になるそうです。
いきなり書き始めるよりも、まず情報と向き合い、どういう流れで紹介したら伝わるかを考えて、紙に書き出す。
情報を細分化すれば、文章をまとめやすくなりますし、話が右往左往する心配もありません。
私も初心に戻って取り組んでいるところです。
心に留めておきたいポイント
文章表現に正解はないものの、苦手な人にとってルールや型があった方が安心できます。
書くことは好きだけど、苦手意識のなくならない私が断言します。
この本を薦める方の多くが「これだけ読んでおけば、ひとまず大丈夫です」と言っていますが、私も同意します。
ポイントを箇条書きで紹介すると、
- 文末表現のカードをいかに持っているかが、文章力の秘訣になる。
- スケールの大きな重複は、読み手に疲労感を与える。
- 接続詞を省いて意味が通じていないようであれば、文章の流れが練れていないということ。
- 接続詞は、読点を伴うと野暮さが倍増する。
- 翻訳文体(例:~することができる)は、明快さの敵となる。
- 体現止めは最小限に。
- 約物(例「」【】)に頼らなくても、強調して伝えられるようにする。
- 語句に「こと」をつけて名詞化する用法は便利だが、重複しやすく、表現もくどくなりがちになる。
心や耳の痛い指摘ばかりでした。
時間に流されず、自分の文章を読み直したり、他の人の文章から学んだりして、思考と表現方法を深く掘り下げる方が、漫然と書き流している人に比べて、ライティングの成長スピードが速いように思えます。
この本を読んで、自身を見直す良いきっかけになりました。
文章が苦手な人も、得意な人も、ぜひ読んでほしい一冊です。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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