誤字・脱字・衍字を見逃すな

「職業病かな」と思うことがあります。

ネットニュースやYouTubeに載っている誤字・脱字が気になるときです。

まれに「衍字」(えんじ=文章のなかに誤って入った余計な文字)が放置されていたときは、思わずスクリーンショットしたくなります。

限られた時間のなかで配信することを考えれば、仕方のないことかもしれません。

恥ずかしながら、私にも心当たりがあります。

あれだけ印刷前に何度も見たはずなのに、刷り上がった後にふと見ただけで発見してしまう感覚は、いつ思い出してもドキッとしてしまうものです。

校閲の必要性

校閲の役割について、一人で振り返る機会を時々つくるようにしています。

言葉の間違い、不適切な表現がないようにすること。

固有名詞は、資料や名刺と照らし合わせながらチェックしています。

文章として流して読むと見落とされがちなのが、変換ミスです。

  • 精度⇔制度
  • 機構⇔機工
  • 機械⇔機会
  • 工場⇔向上
  • 追及⇔追求

などですが、毎回の校閲を通じて、記者ごとに間違う癖が分かってくるようになってきました。

読むことで全体の意味を理解するだけでなく、一つひとつの文字を「カタチ」として見る必要があります。

それ以上に面倒なのが、表記のブレを見つける作業です。

「です・ます調」と「だ・である調」が入り混じっているのは、とても分かりやすいのですが、漢字とひらがなの使い分け、送り仮名の付け方などは、こだわり出したらきりがないです。

  • メーカ
  • ユーザ
  • スキャナ
  • モータ
  • プリンタ

などに、「『―』(長音符)を入れるのか」問題も時々起こります。

書き手の感性によるところもありますが、やはり『記者ハンドブック』(共同通信社発行)のように基準をつくることで解決する部部分が大きいと思います。

木を見て森を見ず

一方で、あまり細かいことを気にしすぎないように注意しています。

表記のブレばかりに気を取られて、肝心の中身に対するチェックが疎かになる可能性があるからです。

まさに「木を見て森を見ず」です。

チェックする項目が多くなれば、時間と集中力も削がれます。

恥ずかしながら、記事の本文ばかり確認して、見出しが間違っていることに印刷直前まで気づかないこともありました。

そういった自戒を込めて、後輩には注意すべきポイントとともに、校閲の経験を積むことの大切さを伝えてきたつもりです。

慢心することなく、文章と文字を見る目を養っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。