新しい職場に慣れるまでがとにかく辛い

新しい環境に飛び込むのは、いくつになっても怖いものだ。
社会人経験がそれなりにあっても緊張する。分からないことばかりで、能力の低さを改めて思い知らされる。

矢継ぎ早に自己紹介されても覚えきれない。
また名前を確認するのも失礼だから、さらに声をかけづらくなる。

オフィスの使い方もよく分からない。ゴミ捨ての分別方法が細かすぎて、自宅に持ち帰って捨てた。
会社特有の固有名詞も意味が分からない。いきなりシステムやアプリの名称を言われても、すぐに理解できない。
ノートパソコンを設定するだけで、ほぼ一日かかった。

黙々と作業している人ばかりで静まりかえっている。
小声も許されないような雰囲気が緊張感をさらに高める。とにかく疲れる。

初対面の人との会話は、さらに気を遣う。
基本的には、質問したことに私が答える。面接のようなコミュニケーションが一日に何度も繰り返される。
経歴を何度も応えすぎて、丸裸にされたような気分である。

根掘り葉掘り聞いてくるわりに、相手は自己開示をほとんどしない。
探られているような感じがして、あまり良い気分はしなかった。

「40歳を過ぎたおっさんが今さら入って何ができるのか?」
そう思われているような気がする。私が穿ったような見方をしているのだろうか。

3日目で放置された

初日に取材を担当するエリアを言い渡され、2日目に近郊の自治体関係者へ挨拶に行っただけだ。
3日目の朝から放置された。経験者だから、あとは自分で思ったように動けということらしい。

入稿する記事の本数が決まっているわけでもなく、テーマも与えられていない。
スケジュールは真っ白。自分で埋めるしかないため、心当たりのある業界関係企業のサイトをブックマークするところから始めた。

直近で発表されたプレスリリースを見つけて、取材のアポイントを取る。
どうにか1日で3件確約が取れた。記者未経験の人たちは、取材に同行させてもらったり、記事を添削してもらったりしている。

覚悟はしていたものの、あまりの放置具合に少しだけ心が折れそうだった。
入眠前、起床後の憂鬱な時間が久しぶりに戻ってきた。頭が重くなるような感覚は、いつになっても辛い。

失敗だったかも

「転職して失敗だったかも」「もっと良い選択肢があったかも」
働き始めて慣れない間は、いつもそう思う。後悔の連続だ。

失敗は付き物であることは分かっている。
新人に過度な期待はかけていないはず。それでも勝手にプレッシャーをかけてしまう。
自分の年齢や経験がそう思わせているのだろう。

まわりから「記者を10年以上やっていたのだから、それぐらいできて当たり前だろ」と思われているような気がする。
慣れているはずの取材が怖い。
わずか400文字の記事を書くこともためらっている。

現実が見えている分、今まで以上に開き直れなくなった。
もう若くない。失敗できない。心がまったく躍らない。

いきなり正解を求めようとしている自分が心底嫌いだ。

仕事・転職

Posted by ぐずもち