【読書】アンジェラ・ダックワース『やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』

『やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(アンジェラ・ダックワース著/神崎朗子訳/ダイヤモンド社)は、タイトルのとおり、やり抜くことが目標達成の要因である点に言及している。

GRIT(グリット)の名称でも知られる本書。菊池雄星選手が動画でよく読み返す一冊として挙げている。個人、団体、教育、ビジネス、スポーツ芸術など、さまざまな分野の事例に触れながら、才能を言い訳にせず、具体的な目標に向かって、努力を積み上げる大切さを説いている。

成功の表面的な部分だけ見ない

本書を通じて思ったのは、他者が獲得した成功の表面的な部分だけ見て、軽々に要因を分析・判断する危険性だ。

目標を達成するまでに、どれだけ時間を割いて苦労したか。創意工夫があったことも分からない。影の努力も知らず、「私と○○さんは出来が違うから」「才能だから」と諦めるのは、もったいない気がするし、相手に対しても失礼な気がする。

実生活だけでなく、報道やSNSを見ても、他者と比較することばかりだ。
その愚かさを分かっていながら、私も「この歳になって情けないな」と思うときが多い。

目標達成にこだわる姿勢を問い直すつもりで本書を購入した。

鉄人に共通する4つの要素

著者によれば、やり抜く力は伸ばせるという。もっとも印象に残ったのは、やり抜く力を発揮する鉄人に共通する要素だ。

抜粋していくつか引用する。

1.<興味>自分のやっていることを心から楽しんでこそ「情熱」が生まれる。私がインタビューをした人びとはいずれも、自分の仕事のなかで、あまり楽しいとは思えない部分をはっきりと認識しており、多くの人はちっとも楽しいとは思えないことも、少なからず我慢していた。とはいえ全体的には、目標に向かって努力することに喜びや意義を感じていた。だからこそ彼らは、尽きせぬ興味と子どものような好奇心をもって「この仕事が大好きだ」という。

 

2.<練習>「粘り強さ」のひとつの表れは、「きのうよりも上手になるように」と、日々の努力を怠らないことだ。だからこそ、ひとつの分野に深く興味を持ったら、わき目もふらずに打ち込んで、自分のスキルを上回る目標を設定してはそれをクリアする「練習」に励む必要がある。自分の弱点をはっきりと認識し、それを克服するための努力を日々繰り返し、何年も続けなければならない。
また、「やり抜く力」が強いということは、慢心しないことでもある。分野を問わず、どれほど道を究めていても、「やり抜く力」が強いということは、慢心しないことでもある。分野を問わず、どれほど道を究めていても、「やり抜く力」の鉄人たちは、まるで決まり文句のように「なにが何でも、もっとうまくなりたい!」と口にする。

 

3.<目的>自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ。目的意識を感じないものに、興味を一生持ち続けるのは難しい。だからこそ、自分の仕事は個人的に面白いだけでなく、ほかの人びとのためにも役立つと思えることが絶対に必要だ。

 

4.<希望>希望は困難に立ち向かうための「粘り強さ」だ。(中略)希望は「やり抜く力」の最終段階だけでなく、あらゆる段階に欠かせない。最初の一歩を踏み出すときからやり遂げるときまで、ときには困難にぶつかり、不安になっても、ひたすら自分の道を歩み続ける姿勢は、はかり知れないほど重要だ。

当たり前のことだからこそ難しい

言うは易く、行うは難しである。結果が出るには時間がかかるし、努力の方向性が間違っている可能性もある。
だからといって、先のことばかり考えて行動できず、口先ばかりの人間になるのはつまらない。

自分の人生観と価値観に従って目標を設定し、ひたむきに努力するしかない。当たり前のことだからこそ難しく、だからこそやり抜いた人の成功が輝いて見えるのだろう。

努力の意味が分からなくなったとき、本書を読み直したい。

読書

Posted by ぐずもち