ライターの端くれとして、生成AIをもう無視できなくなった
今さらながら生成AIの凄さに驚いている。テーマ、構成、文字数、トーンなどの条件を投げるだけで、記事らしきものが完成するではないか。プロンプトをフォーマット化すれば、数分もかからないだろう。中身にこだわらなければ、生成AIで事足りそうな錯覚に陥る。
時間が空いたときに、Googleが提供する「Gemini」で遊んでいる。私が最近取り上げたテーマを書かせて比較する遊びだ。文章表現に違和感がなく、もはや取り上げている情報、分析の切り口と深さしか違いがない。
ざっくりとした指示でここまで書ける
試しに「産業用ロボットの需要動向」をテーマに、以下のプロンプトで書いてもらった。
ビジネスメディアに掲載する記事を作成してください。
・テーマ:産業用ロボットの需要動向
・読者:部品加工業の経営者(30~40代)
文字数:2,000文字
・トーン&マナー:「だ・である調」に統一
生成された文章を一部抜粋する。
■人手不足解消の切り札?産業用ロボット市場の最新動向と今後の展望
部品加工業の経営者の皆様、日々の業務お疲れ様である。近年、人手不足の深刻化や労働環境の改善といった課題に直面する中で、産業用ロボットへの関心が高まっているのではないだろうか。本記事では、部品加工業の経営者向けに、産業用ロボット市場の最新動向と今後の展望を解説する。
■深刻化する人手不足と高まる自動化ニーズ
中小企業庁の調査によれば、部品加工業を含む製造業では、深刻な人手不足が続いている。特に、熟練技能者の高齢化と若手の人材不足は、多くの企業にとって喫緊の課題である。このような状況下で、生産性の向上や品質の安定化を図るためには、自動化の推進が不可欠である。
産業用ロボットは、人手不足の解消だけでなく、労働環境の改善や生産性の向上にも貢献する。危険な作業や単純作業をロボットに任せることで、従業員の負担を軽減し、より高度な業務に集中できる環境を構築できる。
■産業用ロボット市場の現状と課題
産業用ロボット市場は、世界的に拡大傾向にある。国際ロボット連盟(IFR)の報告書によれば、2022年の世界の産業用ロボットの導入台数は、過去最高の51万7000台に達した。日本は、産業用ロボットの主要な生産国であり、高い技術力を持つ企業が多数存在する。
しかし、中小企業にとって、産業用ロボットの導入は容易ではない。導入コストやメンテナンスコストに加え、ロボットを操作・管理するための人材育成も必要である。また、既存の設備やシステムとの連携、セキュリティ対策なども考慮しなければならない。
「日々の業務お疲れ様である」との切り出し方はともかく、語っている内容が大きく間違っているわけではない。私が生成AIの凄さを感じたのは、ざっくりとした一回の指示でここまで書いていることだ。
業界知識がないライターが調べて書くよりも、生成AIに何度もプロンプトを投げて、編集者が仕上げる方が早い。費用もかからない。コミュニケーションに割く時間や手間もいらない。
指示によって、起承転結からPREP法に構成の変更もできる。自立語を用いたり、共起語を組み入れたりすることも、ライターへ事細かに修正を指示する必要がない。既存の情報をたんにまとめる仕事はなくなるだろう。
いつまでも否定していられない
私は生成AIを使うことに否定的だ。考えることを放棄し、情報の正否を判断できず、「効率」を理由に生成AIに頼るのは間違っていると思う。
一方で「いつまでもそう言っていられない」という気持ちもある。意固地になったままでは時代に取り残され、どう生成AIと差別化するかも分からなくなる恐れがあるからだ。ビジネスメディアのなかには、編集長と編集者の2名体制で効率的に運営しているケースもあるという。
分かりやすく書けることが強みである時代は終わった。しかし、相手が伝えたくても、中々上手く言えないことを表現する領域は、まだ戦えるだろう。
出版プロデューサーの西浦孝次さんは、編集者・ライターとして「替えがきかない」人になるための例として、以下のような話をしている。
例えばあなたとほぼ同じくらいの実力・評価・人気の編集者・ライターがいたとする。自分が目の前の仕事を必死にこなしている間に、相手は「これが自分の専門分野だ」と言えるジャンルの企画に挑戦し、爪跡を残している。数年経つ頃には相手はそのジャンルで名の知れた人物になっている。にもかかわらず自分は未だに、何ができるのか、何が得意なのかを世の中に示せないまま替えの効く仕事をこなしている。
こういうことが実際に起きてしまう残酷な業界なのだ。この二人の違いは企画で挑戦したか、挑戦しなかったかでしかない。
私は間違いなく替えが効く人材だ。それでも食べていけるのは、会社に属しているからであり、個人の力量に対する評価ではないことも理解している。生成AIと個人の戦いではなく、生成AIが当たり前になった時代でも価値を発揮できる人との厳しい競争に入っているのだろう。
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