企業が新たに立ち上げるメディアは唯一無二ではなく、過度な期待を寄せない方がいい
誰でも情報発信ができるようになったことで、企業が立ち上げる「メディア」の希少価値は皆無に等しい。発行する側にとっては、唯一無二の媒体かもしれない。しかし、社会全体から見れば、転がっている石ころ程度の存在である。
私なりに文章表現の可能性を信じているつもりだ。世の中に埋もれている情報を正しく分かりやすい内容で伝えることは、第三者だからこそできる役割だろう。そう思いながらも、さまざまな媒体が立ち上がっては消える状況において、自社で多大な負担を負ってまで運営する意味を考えると、個人的には疑問を持っている。
経営者は「メディア」に対して過度な期待を抱いていないか。創刊しても話題にならない。売上にも直結しない。それでも人手と費用はかかる。メディア運営が主力事業でもないかぎり、社内から「そんなことして意味あるの?」という理解のない言葉があっても仕方がないだろう。
運営担当者からすれば、すぐに結果を求められても困る。外注せず、人手や費用もない徒手空拳で取り組むなら尚更である。どこの馬の骨とも分からない企業のメディアが認知を得るには、とにかく継続することでしか信頼は積み上げられない。だからこそ経営者には根気と理解を持っていただきたいものだ。
先人たちの苦労
専門紙の多くは、創刊から四半世紀以上経っている。業界とのつながりを大事にしながら、今日の確固たる地位を築くには相当な苦労があったに違いない。記者として勤めていた頃は何も感じなかったが、会社命令で情報媒体を一から立ち上げることになり、先人たちの凄さに思いを馳せている。
「やっている感」を出すことは比較的たやすい。しかし、箱だけでつくっても、入れるものに価値がなければ、いくら詰め込んでもゴミ箱に過ぎない。ゴミを量産しないようにするにはどうしたらいいのか。人手もない。費用もない。経営者の期待だけは大きい。
私が願うのは、経営者が飽きて途中で放り出さないことだ。0から1にする仕事よりも、個人的には粘り強く続ける方が難しいと思っている。力のある人が最初だけ情熱的に進めて、すぐに「飽きた!」といって放り出す光景を散々見てきた。
世の中から反響がないのは当たり前だ。そのことを承知の上で情報発信に取り組まなければ、メディアとして確立は望めないだろう。
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